<プレス>サグリ、フィリピンのルソン島の稲作地域において間断灌漑(AWD)による温室効果ガス削減事業を開始。JCMクレジットの創出を目指す。

2024年10月21日、サグリ株式会社(本社:兵庫県丹波市、代表取締役:坪井 俊輔)は、フィリピンのルソン島の稲作地域において間断灌漑(AWD: Alternate Wetting and Drying)によるJCMクレジットの創出事業に関する合意書 (Memorandam of Agreement : MoA)をPhilippine Rice Research Institute (PhilRice)と署名しました。

実証の背景

フィリピンにおいて、稲作におけるメタンガスの排出量の削減は、農業由来の温室効果ガス削減の大きな課題とされております。日本の農林水産省はこのニーズに基づき、世界初となる農業由来のJCMクレジット(二国間クレジット)の方法論をフィリピン政府と作成しており、その草案が完成しております。サグリはこれまでのフィリピン政府、農家、民間企業との議論より、サグリの技術を活用したJCMクレジット創出への高いニーズを把握し、本事業を行うこととなりました。

事業内容

本事業では、衛星データとAIを活用しながら、協力農家に対して、AWDに代表される脱炭素農法を導入していきます。また、農林水産省が草案を作成済であるJCMクレジットの方法論にそって導入をおこなうことで、JCMクレジット創出へスムーズに繋げていく予定です。なお、本事業はフィリピンにおける稲作研究に特化した政府系研究機関で、JCMクレジットの方法論策定の専門家委員会のメンバーでもあるPhilippine Rice Research Institute (PhilRice)と協業して行います。

  • 写真中央:弊社東南アジア事業責任者の坂本
  • 写真右から二人目:PhilRiceのエグゼクティブ・ディレクターのジョン氏

PhilRiceとは

PhilRice(Philippine Rice Research Institute)は、フィリピン農業省の傘下で、稲作の生産性向上と持続可能な農業の発展を推進する研究機関です。1985年の設立以来、革新的な技術開発や研究、トレーニングプログラムの提供を通じて、国内外にわたる稲作業界の成長を支援しています。日本との協力関係も深く、農研機構との共同研究プロジェクトや、JICAによる海外協力隊の派遣など、両国間の技術交流や支援が継続的に行われています。

*引用:PhilRiceウェブサイト:https://www.philrice.gov.ph/

間断灌漑(AWD)とは

間断灌漑(AWD: Alternate Wetting and Drying)は、水田での水管理技術で、一定期間水を落として土壌を乾燥させた後、再び水を張ることを繰り返します。この方法は、土壌内部の嫌気的な環境を減少させ、メタンガスの発生を抑制することができます。また、水の使用量を減らすことができ、農家の利益向上と温室効果ガスの削減に寄与するとされています。

*引用:国際農研ウェブサイトhttps://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20220712

JCM(二国間クレジット制度)とは

 JCM(Joint Crediting Mechanism)は、途上国での温室効果ガス排出削減・吸収に貢献するプロジェクトを通じて、その成果を日本とパートナー国で分け合う制度です。この制度により、日本は途上国への脱炭素技術の普及や対策実施を支援し、排出削減・吸収への貢献を定量的に評価し、日本の温室効果ガス削減目標の達成に活用することができます。

サグリ株式会社とは

「人類と地球の共存を実現する」をビジョンに掲げ、2018年に兵庫県で創業した、岐阜大学発スタートアップです。衛星データをAI技術を用いて解析することをコアな技術としており、「農地の見える化で価値を創造する」というミッションのもと環境問題や社会問題の課題解決を目指しています。海外事業においては、シンガポールとインドに現地法人を有し、実証と事業展開では、インド・ベトナム・タイ・バングラデシュ・ケニア・タンザニア・ペルー・ブラジルに展開しています。第6回宇宙開発利用大賞において内閣総理大臣賞など受賞多数。2024年8月にはシリーズA10億円の資金調達を実施