カンボジアの稲作地域において間断灌漑(AWD)による温室効果ガス削減事業を開始。JCM方法論の策定を目指す。
2024年10月30日、サグリ株式会社(本社:兵庫県丹波市、代表取締役:坪井 俊輔)は、カンボジアのプルサット州の稲作地域において間断灌漑(AWD: Alternate Wetting and Drying)によるカーボンクレジットの創出事業に関する覚書 (Memorandam of Understanding : MoU)をプルサット州農政局 (Provincial Department of Agriculture, Forestry and Fisheries in Pursat (PDAFF Pursat)と署名しました。
実証の背景
東南アジアにおいて、稲作におけるメタンガスの排出量の削減は、農業由来の温室効果ガス削減の大きな課題とされており、カンボジアも例外ではありません。日本の農林水産省はフィリピンで世界初となる農業由来のJCMクレジット(二国間クレジット)の方法論を作成しましたが、サグリはこれらのカンボジアへの横展開を狙います。これまでのカンボジア政府、農家、民間企業との議論より、サグリの技術を活用したJCMクレジット創出への高いニーズを把握し、本事業を行うこととなりました。
事業内容
本事業では、衛星データとAIを活用しながら、協力農家に対して、AWDに代表される脱炭素農法を導入していきます。また、農林水産省がフィリピンで草案を作成済であるJCMクレジットの方法論に沿って導入をおこない、日本・カンボジア政府と連携することで、将来のJCMクレジットの方法論策定を狙います。なお、本事業はカンボジア現地大学とプルサット州農政局と協業して実施します。
間断灌漑(AWD)とは
間断灌漑(AWD: Alternate Wetting and Drying)は、水田での水管理技術で、一定期間水を落として土壌を乾燥させた後、再び水を張ることを繰り返します。この方法は、土壌内部の嫌気的な環境を減少させ、メタンガスの発生を抑制することができます。また、水の使用量を減らすことができ、農家の利益向上と温室効果ガスの削減に寄与するとされています。
*引用:国際農研ウェブサイト
JCM(二国間クレジット制度)とは
JCM(Joint Crediting Mechanism)は、途上国での温室効果ガス排出削減・吸収に貢献するプロジェクトを通じて、その成果を日本とパートナー国で分け合う制度です。この制度により、日本は途上国への脱炭素技術の普及や対策実施を支援し、排出削減・吸収への貢献を定量的に評価し、日本の温室効果ガス削減目標の達成に活用することができます。
*引用:外務省ウェブサイト
サグリ株式会社とは
「人類と地球の共存を実現する」をビジョンに掲げ、2018年に兵庫県で創業した、岐阜大学発スタートアップです。衛星データをAI技術を用いて解析することをコアな技術としており、「農地の見える化で価値を創造する」というミッションのもと環境問題や社会問題の課題解決を目指しています。海外事業においては、シンガポールとインドに現地法人を有し、実証と事業展開では、インド・ベトナム・タイ・バングラデシュ・ケニア・タンザニア・ペルー・ブラジルに展開しています。第6回宇宙開発利用大賞において内閣総理大臣賞など受賞多数。2024年8月にはシリーズA10億円の資金調達を実施