おおさかアグリイノベーショングランプリで受賞!
〜大阪府吉村知事より賞状が授与されました〜
受賞テーマは「土壌化学性指標の広域センシング把握による最適な施肥設計とカーボンニュートラルの実現」となります。
サグリ株式会社は、「人類と地球の共存を実現する」をビジョンに掲げるベンチャー企業です。2019年2月28日には、Get in the Ring OSAKA 2019で優勝し、2021年11月には近畿経済産業局長より、J-Startup KANSAIに選定されました。
登壇内容(一部抜粋)
「人類と地球の共存を実現する」をビジョンに掲げるサグリ株式会社です。弊社は兵庫県発のスタートアップ企業ですが、大阪府で主催のアグリイノベーショングランプリの最終選考に進出した応募者の中で唯一の県外企業です。この場でプレゼンテーションできることは、大変光栄なことであり、感謝申し上げます。
本日のテーマは「土壌化学性指標の広域センシング把握による最適な施肥設計とカーボンニュートラルの実現」という題でお話をさせていただきます。弊社は衛星データなどのビックデータを農学(Agronomist)の視点とAI(DataScientist)の両面から解析をし、農業現場の情報の再現を目指しています。特に、リモートセンシング分野における土壌データの解析はまだ国内含め実利用が少なく、創業当時より着眼をしてまいりました。兵庫県丹波市を拠点に、農業現場を回りながら親しくしている農家から話を聞いていると、土壌採取は圃場から5箇所程度を採取し、試薬を用いて化学性指標の解析をされていました。特に有機農法に力を入れている農家は土壌をより把握し、対処をしていましたが、現場ではいくつか課題がありました。それは、この土壌採取及び試薬を用いた解析がかなり農家の負担となっていることです。農家は本来全ての土壌状態を把握したいのですが、それをしている余裕はなく、部分的に農地の土壌を調べていました。また、自分で解析をせず、外部に解析委託をしている農家にも出会いました。しかし、解析結果が戻ってきても、その結果に対する施肥設計ができないことや、そもそも結果が帰ってくるのが遅く、現場の施肥に反映できない等、潜在的な課題を抱えていました。
また慣行栽培においても、近年、中国などの輸出規制や、全世界での化学肥料の需要が高まり、肥料の金額が上がっています。農家は経費となる肥料は減らせるのであれば減らしたいと思っているようですが、管理農地面積も広大になっており、土壌診断ができない農地も多く、結果として肥料を撒きすぎてしまっているという状況を変えることができずにいました。
私は、まずは土壌の化学性指標の一部だけでも、衛星データで解析し、把握することができるようになれば、すぐに結果を反映させられるのではないか。また、これまで解析を部分的な農地だけで行っていた状態から、全ての農地を簡易的に把握することができるようになるのではと考えました。約3年間の時を経て、ついに、土壌化学性指標のなかで、窒素や炭素、PHやCEC(陽イオン交換容量)等を高精度で解析できるようになりました。
最初はなかなか上手くいきませんでしたが、岐阜大学助教(現:准教授)で、サグリCTO田中貴が主となり、実現をすることができました。現在、我が国の農家は小規模から大規模へと農業生産規模が推移しております。我々は、大規模な生産法人で簡易な管理を求める市場に対してサービス展開を行います。現在、開発中のアプリケーションは、大規模な農業者が簡易的に自身の圃場を登録していただき、衛星データで農家の土壌分析のサポートを行うことができるだけでなく、ドローンやブロキャスと連携した可変施肥を行うことにも繋がります。この技術は、農業の側面の課題解決だけでなく、地球環境の課題解決も実現します。具体的には、土壌炭素を貯蓄することにより、土壌に対するCO2の吸収量を評価すること。また、肥料の最適施肥を通じて、脱窒(N2Oの排出)を防ぐことで、カーボン・ニュートラルの実現を目指します。我が国では、政府主導のCDM、 Jクレジット制度、二国間取引制度などが挙げられますが、海外と比較し、大きな遅れをとっています。
弊社は、まずは民間主導のボランタリークレジットを通じて、カーボン・オフセットを推進します。また、ボランタリークレジットの促進によって、カバークロップ(緑肥)や中干し期間の延長により、水田からのメタンガスの排出を削減することを先行して実現していきます。これらのクレジットを評価し、買取することは、農家の所得向上へと繋がります。グローバルでは、すでにタイ・インドへと事業展開をしており、インドベンガルールに既に子会社を有しております。日本の技術をもって、海外へと進出し、東南アジア、インド、アフリカの農地へ還元していきたいと考えています。