サグリ、ベトナム南部の稲作地域において衛星データとAIを活用した間断灌漑(AWD)による温室効果ガス削減の実証を開始。JCMクレジットの創出を目指す。
サグリ株式会社(本社:兵庫県丹波市、代表取締役:坪井 俊輔)は、ベトナム南部の稲作地域において、2024年8月末から衛星データとAIを活用した間断灌漑( AWD: Alternate Wetting and Drying)によるJCMクレジット(二国間クレジット)の創出実証を開始しました。
実証の背景
ベトナムは、稲作におけるメタンガスの排出量が農業由来の温室効果ガスの約50%を占めており、これらを削減することは国の重要な課題とされており、2050年までに温室効果ガスの排出量ゼロを目指すというベトナムの国家目標の達成のためには稲作メタンガスの排出量削減は必須ともいえます。この目標達成のために、ベトナム農業農村開発省は「2030年までのメコンデルタにおけるグリーン成長に伴う高品質の米生産に特化した耕作地100万ヘクタールの持続可能な開拓計画」を含む複数のイニシアティブを推進しています。サグリはこれまでのベトナム農業農村開発省や地方自治体との議論より、高いベトナム社会のニーズを把握し、本実証を行うこととなりました。
実証内容
本実証では、衛星データとAIを活用しながら、実証への協力農家に対して、AWDに代表される脱炭素農法を導入していき、温室効果ガス削減のみならず、事業採算性の包括的な効果検証を行います。また、農林水産省・アジア開発銀行主導のもと策定中であるJCMクレジット(Joint Crediting Mechanism:二国間クレジット)の方法論にそって実証をおこなうことで、方法論策定後のJCMクレジット創出へスムーズに繋げていく予定です。なお、本実証はベトナムにおいて農協向け会計・営農ソフトを販売しているソリマチベトナム社、カントー大学との連携のもと実施されます。
間断灌漑(AWD)とは
間断灌漑(AWD: Alternate Wetting and Drying)は、水田での水管理技術で、一定期間水を落として土壌を乾燥させた後、再び水を張ることを繰り返します。この方法は、土壌内部の嫌気的な環境を減少させ、メタンガスの発生を抑制することができます。また、水の使用量を減らすことができ、農家の利益向上と温室効果ガスの削減に寄与するとされています。
*引用:国際農研ウェブサイト
JCM(二国間クレジット制度)とは
JCM(Joint Crediting Mechanism)は、途上国での温室効果ガス排出削減・吸収に貢献するプロジェクトを通じて、その成果を日本とパートナー国で分け合う制度です。この制度により、日本は途上国への脱炭素技術の普及や対策実施を支援し、排出削減・吸収への貢献を定量的に評価し、日本の温室効果ガス削減目標の達成に活用することができます。
*引用:外務省ウェブサイト
サグリ株式会社
「人類と地球の共存を実現する」をビジョンに掲げ、2018年に兵庫県で創業した、岐阜大学発スタートアップです。衛星データとAI技術を用いて解析することをコアな技術としており、「農地の見える化で価値を創造する」というミッションのもと環境問題や社会問題の課題解決を目指しています。海外事業においては、シンガポールとインドに現地法人を有し、実証と事業展開では、インド・ベトナム・タイ・カンボジア・フィリピン・バングラデシュ・ケニア・タンザニア・ペルー・ブラジルに展開しています。第6回宇宙開発利用大賞において内閣総理大臣賞など受賞多数。2024年8月にはシリーズA10億円の資金調達を実施。
サグリのベトナムにおける活動
・2023年9月ベトナム南部の国立大学であるカントー大学とMOUを締結
・2024年8月AMEICCのASEAN支援プログラムに採択。