『ニナタバ』が実現するデジタルな形の農地集約―外部農業法人誘致で耕作放棄地削減に挑むサグリ株式会社の広島県実証実験成果

サグリ株式会社(本社:兵庫県丹波市、代表取締役:坪井 俊輔)は、令和6年度ひろしまサンドボックス事業(広島県商工労働局採択)の一環として、広島県尾道市において、農地集約と耕作放棄地削減を目指した実証実験の成果を報告いたします。本実証実験では、地権者(農地所有者)の「貸したい」「売りたい」といった将来利用意向をデジタルデータ化し、GISを活用して各筆ごとに地図上で可視化する手法を採用。また、地元農業委員の協力による意向調査や、地権者集会を通じた意見交換により、大規模な基盤整備に取り組む可能性も示されました。さらに、当社が提供するマッチングサービス「ニナタバ」の技術的特長―衛星データを用いた土地情報の可視化と、外部担い手候補者ネットワークの活用―により、外部農業法人の誘致が可能となる新たな農地集約モデルの実現へ大きく前進いたしました。
合わせて詳細な内容はこちらの広島県の記事もぜひご参照下さい。(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/life/1034679_9256022_misc.pdf)
◆実証実験の背景・目的
背景
日本の農業は、高齢化や後継者不足の影響により、耕作放棄地や遊休農地が増加し、地域農業の活力低下が深刻な課題となっています。特に、都市近郊や中山間地域では、農地が細分化・分散しているため、効率的な土地利用の実現が難しい状況です。これに加え、国は、分散した農地がもたらす生産効率の低下を背景に、農地集約を重要な政策の柱として推進しています。大規模な農業経営や機械化の促進、さらには国際競争力の向上を狙い、集約による効率化を目指す動きが加速しています。
サグリ株式会社は、こうした政策背景と地域課題を踏まえ、尾道市において農地利用の最適化と農業の担い手確保を目的とした実証実験を実施しました。なお、本実証実験は、令和6年度ひろしまサンドボックス「サキガケプロジェクト」の一環として行われ、当社の農地マッチングサービス「ニナタバ」を活用しています。
「ニナタバ」は、衛星データに基づく耕作放棄地や各筆の土地情報の可視化と、外部農業法人などの担い手候補者ネットワークの活用という2点の技術的特長により、外部農業法人の受け入れを前提とした大規模基盤整備の可能性も示しています。
目的
- 意向の明確化 地権者の「貸す」「売る」などの将来利用意向をアンケート調査により収集し、各筆ごとの現状を明確にする。
- 視覚的情報の共有 収集した意向データをデジタル化し、GIS技術で地図上に可視化することで、行政、農業法人、地域住民など関係者が直感的に状況を把握できる環境を構築する。
- 合意形成の促進 地権者集会を開催し、集約や外部農業法人誘致に向けた意見交換と合意形成を図る。
- 経済的負担の軽減 尾道市および広島県のサポートと補助金制度の活用により、農地改良に伴う地元負担を軽減するモデルの実現を目指す。
◆実証実験の概要
1. 地権者アンケートの実施
- 調査方法:対象地域の農地所有者に対して、将来の農地利用(「貸す」「売る」「保有し続ける」等)に関するアンケートを実施し、意向を収集しました。
- 結果の集計:各地権者の回答を集約し、地域の利用意向を把握しました。
2. デジタルデータ化と地図上での可視化
- 技術の活用:収集した意向データをGISシステムにより処理し、各筆ごとに色分けしてマッピング。
- 効果:これにより、どのエリアが「貸す」または「売る」といった意向を持つかが一目で確認可能となりました。
3. 地権者集会の開催

開催内容:対象エリアの地権者を招集し、アンケート結果および地図上の可視化データを共有。
議論の焦点:農地の集約、外部農業法人誘致のメリット、さらには基盤整備費用の地元負担を補助金制度により軽減できる可能性について議論が行われました。
合意形成:集会に参加した多くの地権者が、外部法人の受け入れや費用負担軽減に前向きな姿勢を示し、今後の具体的な取り組みの基盤が整えられました。
◆実証実験の成果
利用意向の明確化
アンケート調査により、対象地域の大多数の農地所有者が「貸す」または「売る」意向を示し、従来の個別ヒアリングでは把握困難だった全体像が明確になりました。
視覚的な情報共有の実現
GISを活用した地図上での意向データの可視化により、各エリアの利用意向分布が直感的に理解できるようになり、行政や関係者間の情報共有が大幅に促進されました。
外部農業法人誘致に向けた合意形成
地権者集会では、複数の農地を一括して外部農業法人に貸し出す・売却する案に対し、多くの参加者が前向きな意見を示し、地域農業の活性化に向けた具体的な取り組みが進展する見込みとなりました。
自己負担軽減の可能性
尾道市および広島県の支援により、小規模な基盤整備では改良費用の自己負担が必須であったプロセスを、工事費用負担ゼロの補助事業の対象となる規模で実現する可能性が確認され、農地マッチングの促進に大きく寄与する成果となりました。
「ニナタバ」による実現要因
当社のサービス「ニナタバ」は、以下の2点により本モデルを実現しています。
衛星データを活用した土地情報の可視化: 衛星データにより、耕作放棄地や各筆の詳細な土地情報が正確に把握され、地域全体の農地利用状況が一目で分かります。
担い手候補者ネットワークの活用: 外部農業法人などの担い手候補者を効率的に誘致するネットワークにより、従来の自己負担型の集約プロセスが大幅に改善されます。
詳細は「ニナタバ」のサービスページ(https://ninataba.jp/)をご参照ください。
◆今後の展望
データの定期更新と拡充
得られた意向データを定期的に更新し、農地所有状況の変化に迅速に対応する仕組みを構築していきます。
外部農業法人との連携強化
誘致対象となる具体的な農業法人の選定や条件交渉を進め、地域に最適な運営モデルの確立を目指します。
行政との連携
尾道市および関連自治体との連携をさらに強化し、補助金等の制度を活用した支援体制の構築を図ります。
◆サグリ株式会社について
サグリ株式会社は、「人類と地球の共存を実現する」をビジョンに掲げ、2018年に兵庫県で創業した岐阜大学発のインパクトスタートアップです。AIを用いた衛星データ解析技術を主軸に、農業や地球環境の課題解決を目指して、耕作放棄地を検知する農地パトロールアプリ「アクタバ」、作付け予測をする農地パトロールアプリ「デタバ」、土壌分析ができる営農アプリ「Sagri」などのサービスを提供しています。
2023年に農林水産省及び経済産業省より令和4年度第2次補正予算「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR)」に採択され、2024年8月にはシリーズA約10億円の資金調達を実施。第6回宇宙開発利用大賞において内閣総理大臣賞を受賞しました。
【会社概要】
本社住所:兵庫県丹波市氷上町常楽725-1
代表者:坪井 俊輔
設立年月日:2018年6月14日
ホームページ:https://sagri.tokyo/
<お問合せ>サグリ株式会社 広報担当 pr@sagri.co.jp