【論文掲載】中山間地域における水田の水管理状態を捉える機械学習モデルを開発
~宇宙航空研究開発機構(JAXA)の衛星データ「ALOS-2」を活用し、温室効果ガス削減(気候変動対策)への貢献を目指す~
サグリ株式会社(本社:兵庫県丹波市、代表取締役:坪井 俊輔)は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)の高解像度画像と機械学習(AI)技術を活用し、平地だけでなく中山間地域(山がちで不整形な水田)における水田の湛水(みずはり)状態を高精度に自動検出するモデルを開発いたしました。
本研究成果をまとめた論文が、リモートセンシング分野の国際学術誌『Remote Sensing Applications: Society and Environment』に掲載されましたことをお知らせいたします。
■論文
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2352938526002272
■ 研究の背景と社会的意義
米作りの過程で行われる「中干し」や「間断潅漑(AWD)」といった水管理(水を抜いたり張ったりする作業)は、水田から発生する強力な温室効果ガスであるメタンの排出量を大幅に抑制できるため、気候変動対策やカーボンクレジット市場の観点から世界中で注目されています。
しかし、これまでは現地での目視や水位計による監視など、多大な労力がかかることが課題でした。特に日本に多い中山間地域の小規模・複雑な形状の水田では、人工衛星データを用いた正確な水管理の把握が困難とされてきました。
■ 本研究の成果とポイント
本研究では、広島県中部の水田を対象に、2022年6月から2024年10月までの現地観測データと「ALOS-2」のLバンド合成開口レーダ(SAR)画像を組み合わせ、水田の状況(湛水、湿潤、非湛水)を判定する機械学習モデルを開発しました。
- 中山間地域への対応: 雲の影響を受けずに地表を観測できるSARデータを用い、中山間地域の複雑な水田でも実用的な精度での検出に成功しました。
- 高い予測精度: 機械学習アルゴリズム(XGBoostなど)の最適化と独自の再サンプリング技術により、米の生育ステージに応じた水管理の変遷を精度よく再現しました。
■ 今後の展望
本技術の確立により、広域における水田の水管理状況の「見える化」が可能となり、農業分野における温室効果ガス削減効果の可視化や、環境配慮型農業の普及、カーボンクレジット創出への貢献が期待されます。当社は今後も、最先端のテクノロジーを活用して持続可能な農業と地球環境の保全に貢献してまいります。
■ 掲載論文の情報
- 掲載誌 Remote Sensing Applications: Society and Environment(Impact Factor = 4.5)
- 論文タイトル A machine-learning modelling study on the surface water detection using ALOS-2 L-band SAR images: Irrigation status in a hilly-mountainous region, Japan
- 著者 Itsuki C. Handoh, Rie Sakai, Keita Wakabayashi, Kenshi Kobayashi, Wataru Yasuhara, Tomoko E. Yano, Takashi S.T. Tanaka